がん検診、結果に不安な方へ

がん検診の結果で悩まれている方へ

子宮がん検診の結果の説明を受けましたが、専門用語ばかりで理解しづらく不安が余計につのった。
子宮がん検査のあと、出血が続いていて心配…
子宮がんの検査の結果、中等度異形成の疑いと書いてあり、再検査が必要との事で不安…

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子宮頸がん検診に関するQ&A 

子宮頸がん検診を受けた方から寄せられたご質問を一部紹介します。

Q

ASC-USとは?ASC-Hとは?

A

子宮頸がん検診の結果について、以前は、「日母分類」でⅠ~Ⅴで分類して、ⅠとⅡを陰性、ⅢaとⅢbを疑陽性、ⅣとⅤをがんとしていました。ところが近年、子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が原因となっているとわかり、これを前提として、愛知県と名古屋市でも検診結果に「ベセスダシステム」を用いるようになりました。

「ベセスダシステム」ではNILM(異常なし)、LSIL(軽度異形成)、HSIL(中~高度異形成)とSCC(がん)と診断します。
しかし、なかなか診断の難しい症例もあり、ASC-USとASC-Hという診断もあります。
日本語にすると、ASC-USは「意義不明な異型扁平上皮」、ASC-Hは「高度病変を除外できない異型扁平上皮」となります。何のことか、産婦人科の医師でも理解しにくい結果で、ある病理学の先生は、診断に迷ったときの「ごみ箱」というほどです。

しかし、この場合、「ASC-USはNILM(異常なし)とLSIL(軽度異形成)の区別が難しく、ASC-HはLSIL(軽度異形成)とHSIL(中~高度異形成)と区別が難しいのだな」と理解するとわかりやすいように思います。
精密検査としてはASC-USの場合は原則的にHPV(高リスク群)がいるかどうかの検査(簡易ジェノタイプ判定)を、ASC-Hの場合はコルポスコープ下で生検をおこない、診断が確定します。

このように、従来のクラス分類(日母分類)では、疑陽性が出たときの取扱いが結構バラバラにおこなわれていましたが、ベセスダシステムが導入されて以来、異形成の結果が出たときの取扱いが明確になりました。

Q

HPVジェノタイプ判定検査とは?

A

HPV(ヒトパピローマウイルス)は約100種類くらいあり、そのうち子宮頸がんに関連する高リスク群は10数種類といわれています。
その中でも、16、18、31、33、35、45、52、58型の8つの型が危険とされています。

HPVジェノタイプ判定検査は、どの型のHPV(ヒトパピローマウイルス)がいるかを調べる検査です。
組織診断でCIN1(軽度異形成)とCIN2(中等度異形成)と診断されたときにおこないます。

CIN1で上記8つの型のHPVが(+)だと、約17%の患者さんがさらに悪いほうに進みますが、(-)ならば約0~3%の患者さんしか悪いほうに進まないと言われています。
一方CIN2で上記8つの型のHPVが(+)だと、約50%の患者さんがさらに悪いほうに進みますが、(-)ならば約10数%の患者さんしか悪いほうに進まないと考えます。

Q

子宮頸がん検診と要精密検査とは?

A

子宮頸がんの原因がヒトパピローマウイルス(HPV)であることがわかってきたため、それに伴って名古屋市委託等の公的検診や人間ドックでの結果も、従来の日母分類(パパニコロ分類)からベセスダシステムに代わってきています。

以前の日母分類では、異常(異形成)の結果の場合は、細胞診の再確認をおこない、定期的な細胞診や必要ならコルポスコーブ下での生検(組織検査)をおこなっていました。
しかし、ベセスダシステムではしっかりと取扱い(精密検査の種類・手順)が明記されました。ASC-USではHPV高リスク群の検査、LSIL、ASC-HとHSILではコルポスコーブ下での生検をおこないます。

したがって、ベセスダシステムでの検診結果を持参された患者さんには、以前の日母分類のように、細胞診の再検の必要がなく、取扱い通りに精密検査をおこなえるため、患者さんにも説明しやすくなりました。

Q

コルポスコピー下生検(組織診)とは?

A

コルポスコピー下生検(組織診)は、子宮頸部異型病変をガイドラインに沿って管理していくために、大変重要な検査です。近年子宮頸がんの検診結果を「ベセスダシステム」で判定するようになり、コルポスコピー下生検(組織診)が増えています。ASC-USでもHPV(高リスク群)陽性の場合は、全例でコルポスコピー下生検をするようになっています。

さらにベセスダシステムの取扱いでは、LSIL、ASC-H、HSIL、AGCでもコルポスコピー下生検をするように記載されています。
コルポスコピー自体は痛みを伴いませんが、観察するのに約10~15分かかるため、患者さんは内診台に乗ったままの状態で待たなければならないため少々辛い検査ではあります。同時におこなう生検(組織診)は麻酔なしで組織を採取するので、一瞬痛みを伴います。また、検査後に組織を採取した部位から出血が持続することもあります。

Q

子宮頸部腺上皮の異常とは?

A

子宮頸部腺上皮の異常は、扁平上皮の異常に比べて、臨床家泣かせの病変といわれています。
というのも、腺上皮異常で細胞診、組織の精密検査をおこなっても病理学的診断が難しい症例が多々あるからです。

子宮頸がんは扁平上皮、腺上皮とその他の組織から発生しますが、そのうち腺上皮の異常を「ベセスダシステム」ではAGC、AISとAdenocarcinomaで表記します。
AGCは異型腺細胞で、AISは上皮内腺癌、Adenocarcinomaは腺癌と訳されています。
いずれも精密検査では、「コルポ診、精密検査としては、頸管内膜細胞診または組織診」となります。

以前、他の先生から紹介されたAGCの患者さんで、コルポスコープで2mmくらいの病変をみつけて組織診をおこない、腺癌だったことがあります。これはほとんど偶然といっていいような症例でした。
また、病理診断では「異常なし」と思われてもがんのように浸潤、転移をしていくAdenoma maglignumという高分化型腺癌の子宮頸部腫瘍で極めて予後の不良な症例を経験したこともあります。