子宮内膜症

 子宮内膜症?!と不安な方へ

  • 性交後、下腹部の痛みがあり、心配です。
  • 月経痛がひどいので、子宮内膜症かもしれないと不安です。
  • 子宮内膜症で手術が必要と言われてしまい、不安で仕方がありません。

 子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)とは?

子宮の内側からはがれ落ちた子宮内膜は、通常、月経血として腟から体の外に流れ出ていきますが、卵巣、卵管、腹膜、腸など、子宮の外で増殖や剥離(はくり)を繰り返してしまう病気が子宮内膜症です。子宮以外の場所で増殖した子宮内膜は、腹腔内で炎症や痛みを起こしたり、癒着(ゆちゃく)するなどさまざまな症状を引き起こします。

子宮内膜症の原因については、現在でも明らかになっていません。しかし、閉経後の女性にはほとんど発症しないため、女性ホルモンが大きな影響を及ぼしていると考えられています。

子宮内膜症の症状

おもな症状は「不妊」と「疼痛」です。

子宮内膜症と不妊には深い関係があり、患者さんの30%~40%が不妊であり、逆に不妊の女性の約50%に子宮内膜症が存在するといわれています。
また疼痛は、月経時、排便時、性交の際にみられ、症状が進んだ場合には、月経時以外も、下腹部や腰にみられることがあります。

子宮内膜症の検査

問診

どのようなときに、どのような症状があるのかをお聞きします。
(例:月経のときに下腹部が痛くならないか等々)

内診・直腸診

お腹の中の癒着の状態を調べます。

画像診断

超音波検査やMRI検査により、お腹の中の状態を診断します。特に卵巣の病変の診断に有効です。

血液検査

子宮内膜症の場合、CA-125といわれる物質が血液中に増えることから、血液検査にて測定します。

腹腔鏡検査

お腹に小さな穴をあけ細長い器具を入れて、子宮内膜症の病変がないかを、直接見て確認します。  注)当院にMRI検査と腹腔鏡検査の設備はありません。

子宮内膜症の治療法

薬物療法

鎮痛剤

生理痛などの痛みを軽減する目的で使用されます。ただし、子宮内膜症の病変を縮小することはできません。
副作用:胃腸障害

LEP製剤(ピル)

避妊にも用いられる薬剤。月経時の出血量を軽減させ、生理痛を改善する効果もあります。
副作用:不正出血・乳房症状・吐き気

黄体ホルモン製剤

子宮内膜症の病変を縮小し、症状を改善します。
副作用:不正出血・ほてり・頭痛

GnRHアナログ

女性ホルモンを低下させることで、一時的に閉経期の状態をつくって、症状を軽減します。毎日2~3回鼻から吸収させる点鼻薬のほかに、毎月1回の注射剤を投与する方法があります。
副作用:更年期障害のような症状(のぼせ・ほてり・イライラなど)、骨量の減少

手術

腹腔鏡下手術

腹腔鏡をお腹に入れ、内部を確認しながら電気メスやレーザーで病変を焼いたり、卵管などの癒着をはがします。疼痛や不妊の原因が子宮内膜症かどうかを正確に判断し、治療するときにおこないます。
開腹手術よりも身体への負担が軽く、入院期間も短く済みます。

開腹手術

お腹の中の癒着が激しいときや月経時などの疼痛が非常に強いとき、再発を繰り返すときにおこなわれる手術。子供をつくる予定がない人の場合には、子宮と卵巣を摘出する場合もあります。